「ダイプラス」と「色かけ50色セットと顔料セット」

クリーニングも厳しい状態になりつつあります。
かつての様に洗えば良いという時代から、お客様が洗っても取れない汚れ
シミを取り満足してもらうというクリーニングになりつつあります。

その為には、技術力が必要です。
その一環として色修正があります。
特に最近多いのは、消毒剤塩素による脱色・変色が多いようです。
それらを含めて色修正の技術を紹介します。

「色かけ50色セット」は直接染料で作っているので
絹・麻・レーヨン・シルク・ウール・ナイロンと
適用範囲が広く、使いやすいです。

この染料を用いて、色かけできないポリエステル・アクリル・ウレタンなども
色かけできるように検討しました。

「ダイプラス」は、カチオン系樹脂で軟らかく、洗濯耐久性もあります。
「ダイプラス」を水で10~20倍ぐらいに薄め、色かけしようとする部分に
スプレーまたは塗り、乾かしたあと染料で補正します。

染料のアニオンと樹脂のカチオンが反応し定着します。

この方法によりポリエステルなど染料で補正できないものでも
修正が可能になります。

また、別の用途としてネクタイのすれによる白化は「ダイプラス」
20倍ぐらいに水で薄めスプレーすれば、色が濃くならず直せます。

「色かけ50色セット」の付属商品として「ダイプラス」30㏄を
追加致します。また、別売りとして250㏄を販売致します。

〈顔料セットの特長〉
一般に販売されている顔料は絵具であり、材料の構成は
顔料・樹脂・シリカ・増粘剤が配合されています。

一.顔料は粒子の大きさが色々あり、粒子の大きいものは遮蔽(しゃへい)力が
ありますが、繊維に使用する場合、自然性に欠けます。細かいものは染料感覚になります。
二.樹脂はアクリル樹脂、ウレタン樹脂などエマルジョンのものが添加されています。
硬さ、耐久性は樹脂により左右されます。
ただ、クリーニングに使用する場合、樹脂が入っていると色目が変わり
染料の様に色調整ができません(赤に樹脂を混ぜるとピンク色にみえる)。
乾かさないと色が分かりません。
三.シリカは筆ぬりした場合、筆によるテカリが生じるので添加していますが
光沢を必要とする修正には使用できません。
四.増粘剤は顔料の沈殿等をおさえるため、粘度を上げペースト状にしています。

これらの事を考え松井化学では、全ての材料を別にして、用途により
必要なものを添加する様にしています。
色調整は染料と同様に望みの色を合せ、色を合わせたあと風合いにあった
樹脂を添加します。
光沢のある無しによりシリカの添加を調整します。
エアブラシを使用する時は一般的にシリカは添加しません。
松井化学の顔料はナノミクロンの細かい粒子なので
水で薄めても染料のように沈殿しません。
一般的な加工において樹脂としてはほとんどアクリルシリコン樹脂を使用しますが
ゴム引き加工、ウレタンなどの加工においてはシリコン樹脂、ポリエステル樹脂を
配合して使用します。

実際の修正例を紹介致します。

色かけ修正(顔料)

黒地が全体的に日焼けで赤く変色してしまっています。
変色の範囲が広く、染料では染まらない為ここでは顔料を使用します。

赤みを消す為、水の中に黒8:青2を入れアクリルシリコンを
添加したものをエアブラシにセットしドライヤーで乾かしながら色をかけていきます。

色かけ修正(染料)

部分的に緑色に変色してしまっています。
ムートン素材なので染料を使用して修正していきます。
緑色を消す為、茶色とピンクで色を調整した染料を
ミニスプレーで噴霧し手でなでるようにし、ドライヤーで乾かすと色がなじみます。

色かけ修正(顔料)

全体的に白け、特にポケットや袖等のすれる部分が色はげしてしまっています。
地色が濃い色目なので染料ではなく顔料を使用して色かけを行います。
赤と青で調整した顔料にアクリルシリコンを添加したものをエアブラシで噴霧します。
ドライヤーで乾かしながら色を確認して色かけをします。