各種シミ抜き剤

令和二年を迎え、技術のあるクリーニング業を目指しましょう。

まずは、お客様の要望に応える為、きっちりとしたシミ抜き技術を確立します。

先日もこういう電話がありました。「お客様が持ってこられるものでインクのシミを取ってほしいと言われることが非常に多く、これまではほとんど断っていたのですが、これではクリーニングに持って来くる方がいなくなってしまうので是非、取る方法を教えてほしい」といった内容でした。
1か月経った頃 電話が入り「インクを取ることができ、お客様に非常に喜んで頂きました」と御礼を言われました。

取りにくいシミとして、他にも血液・ペンキなど、また、季節的にはホッカイロ、水とりぞうさんのシミなども結構あります。
また、家庭で洗っての移染なども多いです。

「K‐1」は、油性シミ抜き剤です。主な油性シミには、油・口紅・ファンデーション・ペンキ・絵具などがあります。
揮発性がないため、より安全な処理が可能となります。
処理する場合、ペンキのシミの部分に塗り、10分放置(樹脂が溶解する時間が必要)後、その部分を水道水で洗い流せば完全に除去できます。
また、シミ抜き溶剤で洗い流す場合は、ガンを上から打つのではなく、繊維の中に入り込まないよう、45℃の角度で横に流すようにするのが大切です。

「トリオ」「ピンキー」は同系統のシミ抜き剤ですが、「トリオ」は、あらゆる繊維に使用でき、事故が起きにくいためパートさんがシミ抜きをする場合でも非常に安全です。主に油性・水溶性・移染の除去に使用します。

「ピンキー」は、トリオの強力版です。インクの爆発やポケットのインクのシミはピンキー原液を湯せんし、50℃程度に温め、その中にシミの部分をつけておくと簡単に除去できます。

アクリル繊維・アセテート・合成皮革への使用は溶解しますので注意が必要です。

「墨おとし」は、ゲルインク・墨・墨汁に対して有効です。この種のシミは、一番取りにくいものです。
墨・墨汁には定着させるためゼラチンが使用されています。

まずは、そのゼラチンを過酸化水素または酵素で分解してから処理を行うことがポイントです。
ヘラ等で処理をする場合はできるだけ芯の部分まで動くように時間をかけてください。
早くガンで打って流すと取れにくくなります。「墨おとし」は粘度が高いのでガンで流す時にK‐1を塗ると流れやすくなります。

 

①通常の漂白処理

「シミナックスα」と過酸化水素を1:1に混ぜ2倍に薄めたものを塗りスチームガンで漂白する(漂白処理は無理をしない)。

ラストカットは、サビの場合は原液で使用、漂白処理の後は水で10倍に薄めたもので処理する。
ラストカットはフッ化水素系サビ取りと異なり、揮発性がないので必ず水でよく濯ぐこと。これで結構、黄変は除去できる。

 

②ワキなどの黄変処理

「シミナックスα」と過酸化水素1:1のものを水で10倍にワキの黄変部分にスプレーしたあと薄めたものを家庭用スチームガンで処理する。
シミ抜きで何時間もかかるものが一分程度で処理が終わる。残った黄変はぬるま湯にラストカット0・2%入れつけ込む。

 

③放置によるシミ抜き

色がはげやすい場合は「シミナックスα」と過酸化水素を9:1に混ぜた液を塗って放置する。30分程で濯ぐ。

 

④カビの除去

通常の条件でカビは除去できる。また、全体にカビがある場合は1:1に混ぜたものを水で10倍に薄めスプレーし放置する
(黒カビや、こげ茶色のカビはオレンジ色を経てレモン色になり、そのあと無色化する)。

漂白の際に黄色く残った色素の場合は「ラストカット」での除去が効果的です。
ラストカットでのつけ込みを行う場合、35℃~40℃の水にラストカット0・2%(10ℓに対して20㏄)を入れ15分~20分つけ込んだのち水で濯ぎます(※ラメ・メッキ金属は使用不可、チャックはOK)。